シリコンバレーでAIの世界で最先端を走っており、STADLE(TM)の発明者兼開発者でもあるKiyoshi Nakayama氏へインタビューをする機会をいただきました。
なかなか聞くことのできない幼い頃のお話やどのようにしてAIに関わりを持つようになったのか、経営者として志向していること等を今回は聞いていきます。
分散連合学習の次世代型AIプラットフォーム「STADLE(TM)」
Kiyoshi Nakayama氏が発明し、開発をした「STADLE(TM)」 につきましてはこちらの記事でも紹介しております。
TieSet, Inc.創業者 兼 CEO Kiyoshi Nakayama氏 インタビュー
———小さい頃はどのような方だったのでしょうか?
私は父が教師で母が主婦という家庭で、5人兄弟の末っ子として育ちました。家族全員が野球をやっていたので、わんぱくな子供時代を過ごしました。パソコンに触れ始めたのは中学生の時で、ワープロソフトの『一太郎』を使っていたのを覚えています。運動も大好きで、特に野球が好きでした。
———いつ頃からAIに関して興味を示されて関わるようになったのでしょうか?
アメリカの大学ではAIを勉強したり活用したりしていましたが、AI自体を研究するわけではありませんでした。博士号を取得した後に働き始めてから、AIに本格的に深く関わるようになりました。
私がAIに興味を持ったのは2010年代前半の第三次AIブームの時です。AIの父であるYann LeCunがかつてNECのアメリカラボでAI部門をリードしていたことを知り、そのようなカルチャーでAIを研究開発をしたいと思い、運よくNECラボでAIのコア技術に関する研究開発に従事することができました。
さらに、自分の得意分野である分散システムとAIを融合させることでどんな新しいことができるかを探求し、深く関わっていきました。
———色々な国や地域がある中でなぜシリコンバレーなのでしょうか?
アメリカ・カリフォルニアにあるシリコンバレーのエンジニアたちは、学習意欲がとにかく飛び抜けていて、新しい技術に貧欲であるように感じます。シリコンバレーにはスタートアップ企業が多く集まっており、ここで働く人々は常にAIやエンジニアリングについて考えています。ディナーでもAIの話題が出るし、カフェでもプログラミングをするなど、それらがほぼ生活の一部となっています。
私は縁あって最初に働き始めた研究所がシリコンバレーにありましたが、周りの技術レベルが高すぎて追いつくのがやっとで辛かった記憶があります。しかし、優れた同僚や上司と出会い、素晴らしい環境で働けたおかげで、良い影響を受け成長できました。
「私達以上のものを作れる人は存在しない!」と自信を持った人々が集まっている環境が、私のモチベーションにもなりました。働きながら次々と新たなイノベーションが生まれているのを見て、真にインパクトのあるプロダクトを広めていきたいと強く思うようになりました。
———会社を運営する上で一番大切にしていることは何になりますでしょうか?
一つに絞るのが難しいですが、社員へビジョンを共有することと、コアなチームをつくり大事にすることは特に重要です。
スタートアップでボトルネックになるのはタイミングであり、これが一番難しいと考えています。どれだけ優れたプロダクトでもタイミングが悪ければ広まらないのです。そのタイミングが来るまでの間は非常に大変ですが、社員にビジョンをしっかり共有することで、目標に向かって一緒に頑張ることができると考えています。
また、互いに切磋琢磨できるメンバーが必要であり、そのためコアなメンバーも非常に重要です。メンバー選びにもこだわっています。
———今後力を入れていきたいことを教えていただけますでしょうか?
現在進行中のプロジェクトやプロダクトの導入が成功したら、資金調達をして『STADLE(TM)』をさらにマーケットに広めていきたいと考えています。
現在の課題の一つは、AIの本質を広く理解してもらうことです。日常的にAIという言葉が使われるようになってきましたが、我々はこのAIの未来がどうなっていくのかをさらに広める活動をしたいと考えています。
AIスタートアップは数多く存在し、AIを使ったアプリケーション開発は広く行われていますが、AIのコアな部分を追求している企業は世界的にも限られています。そのようなAIの本質的な価値を広める活動も行っていきたいと思っています。
———若い世代に向けて、メッセージいただけますでしょうか?
日本のスタートアップを見ても、スケーラビリティがやはり小さいと感じます。そのため、日本だけに留まらず、世界情勢をもっと視野に入れてほしいと思います。
日本よりも世界には想像を超えるレベルの人材がたくさんいますから、英語を勉強し、世界に焦点を当てて飛び出し、より多くの刺激を受けるべきだと思います。
また、日本の良い習慣でもあり、悪い習慣でもあるのですが、優れたアイデアを持っているのに過度に謙遜してしまう傾向があります。もっと積極的に自分の考えやアイデアをアウトプットすることを意識して、様々な人たちとコミュニケーションを積極的に取っていくべきだと思います。
▼プロフィール
Kiyoshi Nakayama
TieSet, Inc.の創業者 兼 CEO
カリフォルニア大学アーバイン校でコンピュータサイエンス博士号を取得。
TieSet創業前は世界トップクラスの機械学習研究グループを有することで知られるNECアメリカ研究所をはじめ、シリコンバレーの複数の研究所で研究員として活躍していた。
これまでに数多くの国際論文と特許を発表しており、国際会議等で2度最優秀論文賞を受賞。
Federated Learning with Pythonを出版し世界から人気を博す。
世界で最も先進的な分散型連合学習プラットフォームの開発と普及を目指し、リードしている。
【TieSet,Inc./TieSet Asia 概要】
会社名:TieSet, Inc. ([https://www.tieset.jp/])
代表者:Kiyoshi Nakayama
本社所在地:214 Homer Ave, Palo Alto, CA 94301, USA
登記住所:651 N. Broad Street; Suite 206, Middletown, Delaware 19709, USA
事業内容:STADLE Platformの研究開発およびサポート
会社名:株式会社TieSet Asia ([https://www.tieset.jp/])
代表者:中山茂樹
本社所在地:〒105-0022 東京都港区海岸1-2-20 汐留ビル5F
事業内容:STADLE及びSTADLEに基づいたソリューションの国内展開およびパートナーサポート