生活を便利にすべく、身の回りに確実に広がり続けているAI(人工知能)。AIについての話題はよく耳にしますが、その中でも「強いAI」「弱いAI」という言葉を聞いたことはありますか?
AIが強い、弱いとはどういうことなのか、具体的には何を指しているのか、初心者目線で考えてみます。
強いAI、弱いAIとは
強いAI、弱いAIとはアメリカの哲学者、ジョン・サール氏が論文の中で提唱した言葉です。提唱したのは1980年。今から40年前に人工知能に関して論文などで討論が行われていたかと思うと、AIには長い歴史があるのだなと驚かされます。
簡単に定義をまとめると、強いAIは「人間と同様に自意識があり、自ら考えて問題解決できるAI」のこと、弱いAIは「自意識は持たず、特定の狭い領域の問題解決しかできないAI」のことです。
つまり、実在しているAIは全て弱いAIに分類されることになります。生活を豊かにしてくれているのに「弱い」とつけられてしまうだなんてという安易な感想を持ってしまいました。対して、強いAIは人間と同様に自我を持っていると定義されており、未だ存在していません。将来そんなAIが生まれる日は来るのか、興味深い反面、人間の生活はがらっと変わってしまうのか不安も感じますね。
弱いAIを考えてみた
まずは身近に存在している弱いAIから考えていきます。
弱いAIには、似たような意義で「特化型AI」という分類もあります。特化型AIも特定の狭い範囲に特化して処理をするものを指します。
これらのAIはプログラムされた特定の分野に対して1度にたくさんの処理を行うなど、人間の能力を超えた問題解決機能があります。裏を返せば、弱いAIはプログラムにない分野に対して、人間の能力を超えた問題解決機能を持っていても立ち向かえないと言えます。
具体的にどのようなものがあるか
弱いAIは世の中全てのAIを指しているので、具体的にどのようなものがあるのか想像しやすいと思います。いくつか例をみてみます。
ボードゲーム
最近世間を賑わせた将棋をはじめ、ボードゲームでプロの人間にAIが勝ったというのは記憶に強く残っているのではないでしょうか。これらは多数の統計を組み込むことで人間に勝るAIとなりました。プレイヤーのスキルアップを目指すためのツールとして今後も活用、開発が期待されそうです。
AIと将棋に関して、詳しくはこちらの記事へ
AIと将棋~人はAIに勝てるのか~
チャットボット
企業ホームページやSNSなど身近な場面で見かけることが多くなっているチャットボット。実際に活用したことがある人も多いのではないでしょうか。
例えば、よくある質問に関してはチャットボットが解決することで、ヘルプデスクやコールセンターの負担を減らし、業務効率化に役立っています。利用者としてもすぐに返事が来る(不安点を解決できる)ことへの安心、便利さを感じられます。
コロナ禍で自治体・保健所などへの問い合わせが増えていたり、非接触が求められていたりと、新しい生活様式が続く現在、チャットボットのニーズは増えていくのではないかと考えられます。
AI家電
家電とAIが結びつく範囲はどんどん広くなっています。
例えば、お掃除ロボットは部屋の広さや形、家具の位置などを学習し、掃除ルートを決めて掃除します。また、外出先からでも専用アプリを使って掃除の指示を出すこともできます。便利さや愛嬌ある動きから、一般家庭でもお馴染みのものとなりました。我が家でも活躍中です。(ちなみに名前は「シロちゃん」)
また、冷蔵庫にもAIが搭載されました。外出先から冷蔵庫に何が入っているかをカメラで確認できたり、扉の開閉データを集め活動時間を予測し、その時間帯に合わせて庫内の温度を調整したりと、食材を無駄にしないよう助けてくれます。
このように弱いAIの具体例は多様に存在していて、どんな生活スタイルの人であっても身近なものになっていることが分かります。
強いAIを考えてみた
強いAIには、似たような意義で「汎用型AI」という分類もあります。汎用型AIも人間と同じように幅広く多数の問題を解決できる能力を持っているもののことを指します。
これらのAIはプログラムされていない状況に直面しても自ら学習し、幅広い分野の知識を持ち、判断・問題解決をします。強いAIは自意識があるとも定義されているため、人間の脳に極めて近いものであると言えます。
具体的にどのようなものがあるか
有名なキャラクターであるネコ型ロボットなど、映画やアニメに出てくるものが強いAIの具体例と考えられます。直面した状況に対して「嬉しい」「悲しい」「怖い」といった感情を持ち、問題と思ったものをどうやって解決するか考え行動します。現在、強いAIは研究段階であり、実用化までは時間や技術が必要です。
例えば、AIロボットが問題を解決しようとする時、その目的とは関係・影響がない物事であっても、起こる可能性があるのではと考えてしまい問題を解決できなくなってしまうのです。また、関係・影響がない物事、起こる可能性がないものは何かを考えてしまっても動けなくなってしまいます。目的に対して無限の可能性があっても、人間は感覚的に判断できています。(この例は「フレーム問題」と言われています。)
AIに関して「将来、AIに人間の仕事が奪われてしまうのではないか」という話がありますが、強いAIが次々と生まれてきた時に、そういった不安が現実味を帯びてきそうですね。
まとめ
初心者目線で「強いAI」「弱いAI」という言葉の意味や具体例について考えてみました。弱いAIの発展は今後も目まぐるしいものになるのではないでしょうか。強いAIに関しても今後の研究がどのように発展していくのか楽しみですね。