概要

  • プライバシー保護が徹底された非中央集権型の機械学習ソリューションで、データのプライバシーを侵害することなく、エッジあるいは分散した拠点で学習内容の共有を実現
  • より大規模なデータセットへのアクセスを可能にすることで、AIモデルトレーニングの精度を高め、バイアスを低減

ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)(日本ヒューレット・パッカード合同会社 本社:東京都江東区、代表執行役員社長:望月 弘一)は本日、HPE Swarm Learning( https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/artificial-intelligence/swarm-learning.html )の提供を開始したことを発表します。データプライバシーを維持しながら、AIモデルの学習結果を共有・統合することが可能で、医療やクレジットカード詐欺の検出など、エッジでのインサイトを加速する画期的なAIソリューションです。

HPEの研究開発組織であるHewlett Packard Labsが開発したHPE Swarm Learningは、業界初のプライバシー保護が徹底された非中央集権型の機械学習を、エッジあるいは分散した拠点で利用可能にするフレームワークです。(*1) 当ソリューションは、HPE swarm APIによってAIモデルとの統合が容易なコンテナとしてお客様に提供されます。ユーザーは、実際のデータではなく、AIモデルの学習結果を組織の内外と随時共有し、トレーニング効果を高めることができます。

HPEのHPC&AI事業のエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるジャスティン・ホタード(Justin Hotard)は、次のように述べています。
「HPE Swarm Learningは、AIへの新しい強力な取り組み方法で、実績として医療の促進に加え、不正検知や予知保全の取り組みを支援する異常検知の改善などがあります。HPEは、各組織が倫理、データプライバシー、ガバナンス基準を遵守しながら、コラボレーション、革新、AIモデルの力を加速させることを可能にするエンタープライズクラスのソリューションを提供することにより、意義あるHPE Swarm Learningの普及に貢献しています。」

インサイトをエッジで安全に活用するための新しいAIへの取り組み方法

今日のAIモデルのトレーニングの多くは、中央で行われ、中央でマージされたデータセットに依存します。しかし、この方法では大量のデータを元のデータソースに戻す必要があるため、非効率的且つ高コストになる可能性があります。また、データの共有や移動を制限するデータプライバシーやデータ所有権の規則や規制によって制約を受けることもあり、結果として精度が低く、偏ったモデルにつながる可能性があります。エッジでモデルをトレーニングして得たインサイトを活用することで、インパクトのあるその場で、より迅速に意思決定を行い、より良いエクスペリエンスと成果を得ることができます。また、組織を超えて学習の結果をデータソースで共有することで、世界中のさまざまな業界が団結して、インテリジェンスをさらに向上させ、事業や社会に多大な成果をもたらすことができます。

一方で、データガバナンスや規制、コンプライアンス上、データを外部と共有することができない組織が大多数です。HPE Swarm Learningは、分散されたデータをそのソースで利用することを可能にし、データガバナンスとプライバシーを徹底しながら、トレーニング用データセットを増やし、偏りのない方法で学習する機械学習モデルを構築することを可能にします。HPE Swarm Learningは、ブロックチェーン技術を用いてスウォームのネットワークにレジリエンスと安全性を実現しています。利用するメンバーの安全な追加、リーダーの動的な選出、モデルパラメータの結合にあたって、ブロックチェーン技術を用いることで、データそのものではなく、エッジで得た学習結果のみが共有されます。さらに、HPE Swarm Learningでは、学習結果のみを共有するため、ユーザーはプライバシーを損なうことなく大規模なトレーニングデータセットを活用でき、バイアスを解消してモデルの精度を向上させることができます。

データを Swarmifying(スウォーム学習させて)、公益のためにAIを強化
HPE Swarm Learningは、さまざまな組織のコラボレーションとインサイト向上を支援します。

  • 病院:画像記録、CTやMRIスキャン、遺伝子発現データから学習結果を得て、病院間で共有することで、患者情報を保護しつつ、病気などの診断の向上に役立てることができます。
  • 銀行や金融機関:今後10年間でクレジットカード詐欺による世界的な損失が4000億ドル以上と予想される中(*2)、詐欺に関する学習結果を複数の金融機関で一斉に共有することで対抗することができます。
  • 製造現場:予知保全により、機器を修理する必要性を事前に把握し、故障に起因するダウンタイムを防止することに役立てることができます。HPE Swarm Learningを活用することで、保守管理者は複数の製造現場のセンサーデータから収集された学習結果から、より優れたインサイトを得ることができます。

HPE Swarm Learningの早期採用ユースケース

RWTH University Aachen(アーヘン工科大学):結腸癌の診断を加速する病理組織学の研究 に利用
ドイツのアーヘン工科大学付属病院のがん研究チームは、大腸がん診断の高度化に向けた研究( https://www.nature.com/articles/s41591-022-01768-5 )の一環として、細胞ががん化する原因となる遺伝子変化を予測する目的で、画像処理にAIを適用しました。

研究チームは、HPE Swarm Learningを使用して、アイルランド、ドイツ、米国の3カ国に在住する患者グループの個人情報を含まないデータでAIモデルをトレーニングして、AIモデルを得ました。そのAIモデルに対して、英国内でのみトレーニングされた2つのデータセットの予測性能を比較検証した結果、HPE Swarm Learningで得られたAIモデルのほうが予測性能が優れていることが実証されました。

TigerGraph社が銀行のクレジットカード詐欺対策を支援するための異常検知機能を強化   
グラフ分析プラットフォームを提供する米国のTigerGraph社は、HPE Swarm Learningと、AMD EPYC™プロセッサを搭載したHPE ProLiantサーバー上で動作するデータ分析サービスを組み合わせ、クレジットカード取引における異常な行動を迅速に検出する取り組みを強化しています。このソリューションは、地理的に離れた場所にある複数の銀行やその支店の膨大な量の金融データから機械学習モデルをトレーニングする際の精度を高めています。

提供時期
HPE Swarm Learningは、2022年5月25日から国内で提供を開始します。
詳細:https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/artificial-intelligence/swarm-learning.html

参考情報

機械学習モデルの開発とトレーニングのためのターンキーソリューションの提供開始を発表
HPEはまた、大規模な機械学習モデルを容易に構築、トレーニングするためのターンキーソリューションである、HPE Machine Learning Development Systemの提供開始を発表しました。AIのための新ソリューションは、機械学習ソフトウェア基盤、コンピュート、アクセラレータ、ネットワーキングを統合したエンドツーエンドソリューションで、より高精度なAIモデルを迅速かつ大規模に開発・トレーニングすることを可能にします。
プレスリリース:https://www.hpe.com/jp/ja/japan/newsroom/press-release/2022/052501.html

 ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)について
Hewlett Packard Enterprise (NYSE: HPE) は、グローバルedge-to-cloudカンパニーとして、あらゆる場所に蓄積される全てのデータの価値を解き放ち、事業の成果を加速させる支援をします。人々の生活そして働き方の向上を目指し、数十年にわたって未来の再考とイノベーションを重ね、HPEは独自でありながら、オープンでインテリジェントなテクノロジーソリューションをアズ・ア・サービスで提供しています。クラウドサービス、コンピュート、HPC & AI、インテリジェントエッジ、ソフトウェア、ストレージを全てのクラウドとエッジにわたって一貫したエクスペリエンスで提供することで、お客様が新たなビジネスモデルを創出し、新たなエンゲージメントを展開し、運用のパフォーマンスを最大化できるようサポートしています。詳細はwww.hpe.comでご確認ください。

注記
*1 2022年4月13日現在、プライバシー保護をうたう競合製品を分析した結果、(i)中央サーバーに依存する連携アーキテクチャを採用している、(ii)ブロックチェーンを利用する場合、企業向けのソリューションではない、のいずれかが判明しています。
*2 今後10年間のクレジットカードの不正使用による世界的な損失は4,085億ドルと予想されています。出典:2021年12月NilsonReport( https://nilsonreport.com/upload/content_promo/NilsonReport_Issue1209.pdf )

プレスルーム
https://www.hpe.com/jp/ja/japan/newsroom/press-release.html

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