Midjourneyが先行し、Stable Diffusionが拡大させた画像生成AIのウェブニュース

株式会社トドオナダ(代表取締役社長 松本泰行)は、3,000以上のWEBメディアをモニタリングできるツール「Qlipper」(https://qlipper.jp/)のデータに基づき、画像生成AIに関するウェブニュースの分析を発表いたしました。


なおこの画像もStable Diffusionで作成

キーワードと簡単な指示で高度なイラストや画像を生成するAIサービス。この数カ月間で急速に注目を集めだしたと言われていますが、実際にはどのようにメディアで報じられているのでしょうか。
この調査では、主要かつニュースの多い画像生成AIサービスが掲載されたウェブニュース記事について、集計・分析を行いました。
対象は「ERNIE-ViLG」「DALL・E2」「Midjourney」「mimic」「NovelAI」「Stable Diffusion」、そして「画像生成AI」というワードを含む記事です。期間は7月18日から10月17日までの3ヶ月間としました。

画像生成AIサービス別の集計


※仮想PV:Qlipperが取得したサイト構造を基に独自エンジンで記事のページビューを予測・算出した数字
※記事ツイート数:記事のURLを含むツイートの数

■画像生成AIの代表格とされるMidjourney
記事数も仮想PVも最多のMidjourneyは、初の本格的商用作画AIサービスと紹介したり、画像生成AIの盛り上がりの起爆剤と位置づけたりする記事が多数見られました。
6月に公開されて早くからニュースになってはいましたが、8月末のStable Diffusion公開後に相乗効果で記事数の増加が見られます(下図 記事の推移を参照)。
メディア露出の特徴として、記載のあるプレスリリースが8本、全国紙の記事が11あることが挙げられます(2番めに多いStable Diffusionはプレスリリースと全国紙ともに4つ)。画像生成AIの代表的存在として、企業や伝統的なメディアが注目していることを反映しています。
記事となる話題も豊富で、歌手のプロモーション素材、アーティストの展示作品、Twitter連載小説『ニンジャスレイヤー』の挿絵、ゲーム作品など多様なコンテンツで使われてニュースになっています。
また、ゲーム『ゼルダの伝説』の実在しないNetflix実写映画のイメージ画像が拡散したこと、米国のコンテストで最優秀賞を獲得した絵画がMidjourneyによる作品だったという騒ぎなど、生成された画像が引き起こす現象の記事も特徴的です。

【記事の推移 Midjourney、Stable Diffusion、mimic】

Midjourney、Stable Diffusion、mimicの記事数推移

■思想性が注目されるStable Diffusion
公開前から「業界トップレベルの画像生成AI」と言われ、大きな期待感をもって迎えられたのがStable Diffusionでした。
オープンソースとして無料公開され、日本語に特化した画像生成モデル「Japanese Stable Diffusion」やLINEで利用できるbotが公開されるなど、日本国内で普及する環境がつくられつつあることがニュース記事からわかります。
Stable Diffusionそのものの機能や能力もさることながら、サービスの背後にある開発者の思想を取り上げる記事の多さが最大の特徴です。「Stable DiffusionはAIの民主化のためのツール」「AIは全世界の人が平等に使えるようになるべき」「10億人の人々をクリエイティブにする」、画像検索の代わりに画像生成する時代へ、というビジョンが発信されていて、他サービスよりも深い洞察を含む記事が見られます。

■炎上・サービス停止で記事が集中したmimic
「クリエイターが抱える様々な課題を解決するために開発をしたクリエイターのためのイラスト生成AIサービス」として公開されたmimic。イラストのデータを与えると画風を学習して、そのクリエイター風の独自の新しいイラストを生成するサービスでした。
しかし、他人のイラストを利用した悪用の恐れがあるという批判が相次ぎ、1日でβ版のサービス停止となりました。
その結果、記事の48%がサービス開始後3日間に集中。3ヶ月の通算で見てもやや暗い記事の割合が高い結果となっています。

【記事の明るさ比較 mimicとStable Diffusion】
mimicは「やや暗い」論調の記事が多い

サービス停止後の記事数は少なめで推移していますが、運営元の株式会社ラディウス・ファイブがことの顛末について取材に応じた記事がいくつもあり、信頼回復に努めたことが見て取れます。

「画像生成AI」の記事推移

7月18日以降3ヶ月間の推移

■Stable Diffusion公開が「画像生成AI」のニュース規模を拡大
特定のサービス名ではなく、「画像生成AI」というワードを含む記事は、8月末以降急激に増えています。とくに、Stable Diffusionが公開された8月23日以降、「画像生成AI」も記事数の増加が顕著です。Stable Diffusionの登場が「画像生成AI」のニュース性を強くしたということです。

【記事の推移 「画像生成AI」、Midjourney、Stable Diffusion】
8月23日のStable Diffusion公開以降、全体の記事数増加が見られる

その後は、MidjourneyとStable Diffusionの記事があると、それらを説明するワードとして付く「画像生成AI」も増えるという流れになっています。

■フェイクニュース拡散と著作権に関わるリスクの存在
明確に暗い論調の記事の割合が高いことも「画像生成AI」の特徴です。

【記事の明るさ比較 「画像生成AI」とMidjourney】
「画像生成AI」は「暗い」論調の記事が多い

「暗い」および「やや暗い」記事のみのトレンドを見ると、「デマ」「フェイク」といったワードが並びます。

【「画像生成AI」 暗い・やや暗い記事のトレンド】

最も大きな影響を与えたのは、静岡県が台風15号の被害を受ける中、「ドローンで撮影された静岡県の水害」の画像と称したAIによる偽の水害画像がTwitterで拡散した件でした。このできごとから、画像AIの精度向上がフェイクを見抜くことをより難しくしつつあることや、デマ画像の拡散に関わってしまった場合の法的リスクなどを指摘する記事が書かれています。
また、上記のmimicの炎上や、有名Vtuberが相次いで発したAIによるファンアートへの苦言といったネガティブな事例も見られます。これらの根底には、著作権の侵害をしてしまう・されてしまうリスクに関する議論があることがそれぞれの記事から読み取れます。

■画像生成AIサービスのウェブニュースランキング
調査期間:2022年7月18日〜10月17日
(Qlipperの記事確認日時)
調査機関:自社調査
調査対象:下記の画像生成AIサービスおよび「画像生成AI」のワード

・ERNIE-ViLG
・DALL・E2
・Midjourney
・mimic
・NovelAI
・Stable Diffusion

調査方法:Qlipperが調査期間中に収集した国内主要ニュースサイトのウェブニュースの内、調査対象を含むものの記事数、仮想PV数、記事ツイート数を集計。
※仮想PV:国内3,000媒体以上のWEBメディアをモニタリングしているQlipperが、取得したサイト構造を基に独自エンジンで記事のページビューを予測・算出しています。(特許第7098122号)

■Qlipperについて

Qlipper(URL: https://qlipper.jp/)は、広報業務を支援するPR分析サービスです。
Webモニタリング、SNSモニタリング、PR分析、業務自動化によって、PR調査のコストダウンを行います。
正確かつ大量のデータをリアルタイムで簡単に得られます。
競合比較やベンチマーキングによる目標設定に活用可能です。
無料トライアルを用意しており、弊社コンサルタントが専任でサービス初期設定と最適化を支援します。
カスタマイズされたデータを簡単に確認でき、PR活動にご活用いただいています。

【株式会社トドオナダ】
https://todo-o-nada.com/
代表取締役社長:松本泰行
〒108-0073 東京都港区三田3-13-16 三田43MTビル2F
会社設立日:2020年1月20日
資本金:580万円