コロナ禍に見舞われる中、ヘルスケアの分野に今注目が集まっている。リモートワークへの移行に伴って運動量が減り、「コロナ太り」という言葉まで誕生したほどだ。
それらもあって、今自宅でどのように健康維持をしていくか改めて考え直す場面に直面している。

世の中でヘルスケアに関連するアプリが日々登場している中、注目を浴びているのが、株式会社FiNC Technologies が開発したAIを搭載し、ヘルスケアに特化したスマホアプリ「FiNC(フィンク)」だ。
そこで未来メディアは、代表取締役 CEOである南野 充則氏にヘルスケア/フィットネスアプリ「FiNC(フィンク)」の詳しい概要と戦略、そして未来の展望を伺った。

カラダのすべてを、ひとつのアプリで。

ダウンロード数 国内No.1ヘルスケア/フィットネスアプリ
※日本国内 App Store / Google Play「ヘルスケア(健康)/フィットネス」カテゴリにおける1年間(2019年1月~12月)のダウンロード数の合算です/出典:App Annie

株式会社FiNC Technologies 代表取締役 CEO 南野充則氏 インタビュー


——―ヘルスケアとAIを掛け合わせようと思ったきっかけは何でしょうか?
私たちは「世の中の人たちを健康にしていく」ことを目指しております。健康になるために多くの人がやっていることは、「管理栄養士さんに食事の栄養指導してもらう」、「パーソナルトレーニングを行う」など、『人が直接関わる』ヘルスケアのサービスです。しかし、そういったパーソナライズされたサービスは時間やお金の問題もあり、なかなかヘルスケアそのものにチャレンジできない人達も非常に多いと感じていました。そこでAIとヘルスケアを掛け合わせることで、誰でも気軽に健康を目指せればいいのではないかと思ったことが、開発のきっかけです。

—―—世の中でも注目されているヘルスケアアプリはほかにもいくつかあるかと思われますが、その中でもFiNCアプリの強みを教えて下さい。
まず一つ目として『一つのアプリで身体のすべてを管理できる』という特徴があります。食事を管理するアプリや、体重を管理する個別のアプリがありますが、FiNCのアプリは一つでそのすべての役割を担え管理ができるのは、グローバルで見ても珍しく、とてもユニークなポイントです。
もう一つはダウンロード数が1,000万ダウンロードを超え、No.1アプリの評価をいただいている理由でもある『高い継続率』です。ただ体重計に乗って記録をするだけでは長続きしません。そこでFiNCは『AIがアドバイスをしてくれる』機能を持っています。体重を記録すると褒めてくれる、歩数が目標に達成すると褒めてくれるなど、お客様個人のモチベーション向上ができる設計をしています。それだけではなく、健康に良い行動を行うとFiNCポイントがもらえ、そのポイントを使って、美と健康に特化したウェルネスセレクトショップ「FiNC MALL」でお得にお買い物ができるという機能も備えているため、皆さんに継続的に使い続けてもらえているというのが、他とは違う一番の特徴となっています。

———FiNC MALLで取り扱っている商品は、具体的にはどういったものがありますか?
アプリと連動した体組成計やヨガマット、サプリメントだけでなく、お米やお水といった「健康には欠かせない商品」「日常的によく使う商品」がFiNC ポイントを使用して購入することができます。商品数は現時点で約一万点に到達しました。

———今後も商品の拡大の予定はありますか?
もちろんです。お客様にアンケート調査を行い、2019年1月時点で300~400品だったのが、この2年間で約30倍以上の商品を増やしました。これからもお客様に最適な商品を追加できればなと考えています。

———すごいスピードですね。
そうですね。やはり他のアプリとの差別化をしっかりしていかないとNo.1を維持することはできませんし、グローバルでも一番を目指していますので、スピードにはしっかりと力をいれて取り組んでいます。

———FiNCアプリのAIにはどういった機能があるのでしょうか?
大きくは二つに分けています。一つが『記録を便利にする』という機能です。摂取する食事の写真を撮るだけでカロリー計算や栄養素の記録してくれたり、睡眠時間もスマートフォンを身近に置いておいてもらえるだけで予測し、記録ができるといったことがAIで可能になっています。
もう一つは先程も紹介した『AIが褒めてくれる』機能になります。特にダイエットをしたいと思っている方は、単に体重や歩数などの記録をしているだけだと一人で頑張るのはなかなか継続するモチベーションが続かないと思うんです。管理栄養士さんの手法を私たちは参考しており、食事に応じて栄養のアドバイスを行ったり、目標達成直前になったら褒めるといったところを、AIが介しています。

———FiNCアプリはゲームなどとタイアップを行っていますが、今後も他のサービスとの連携を考えていますか?
先日は日本通信の格安SIMスマホの通信プランと提携し、日経新聞にも取り上げていただきました。国の政策として、今このコロナ禍の中でいかにして国民の皆さんを健康にしていけるかといったところと、携帯料金を引き下げていこうという方針が菅首相からも出ていますが、「この二個を掛け合わせたプラン」を発表し、スマホ料金もお得、健康になれてお得な『ダブルスマートプラン』を発表しました。こういった取り組みは今後も他の会社様ともさせていただければなと思っています。

———ダブルスマートプランの強みは、「スマホ料金が安くなる」以外にどんなものがありますか?
「携帯料金がどの会社よりも安い」というメリットに加えて、『FiNC Plus』というサービスがプラン内に含まれています。
元々は月額480円 (税込)のサービスで、このプランの特典の一つは月に約1.4万台ほど売れている、乗るだけで体重・体脂肪・体年齢など11項目がFiNCアプリに自動で連携されるFiNCオリジナル体組成計が1000円引きになります。
二つ目は食事の栄養素をFiNCアプリにて記録する際に、健康やダイエットでは無視することのできない「糖質」を確認できるようになります。
三つめはFiNC MALLで使えるアプリ内ポイントの獲得量が2倍になるというサービスになります。

———フィットネスアプリを使っていないユーザーの方もいるかと思いますが、FiNCアプリを使う利点は何かありますか?
他のアプリですと、やはり「記録するだけ」や「見るだけ」など継続できないことが多いですが、私たちのFiNCアプリは健康習慣を定着させるために「いかに長く続けてもらえるか」を常に考えています。
「記録を続けるとポイントがもらえて、楽しく買い物ができる」「AIが褒めてくれる」などの要素を足していくことによって「楽しく、長く続けることができる」ことで差別化できればいいと思っています。また、「記録をした際に褒める」という機能は、グローバル的にも私たちが特許を持っておりますので、その点でも差別化できていると考えています。

———なるほど。ログは取れてもその先の部分はFiNC Technologiesさんが持っている形に……
そうですね。その部分ではAppleやGoogleとも提携をしていて、とてもよくサポートしていただいています。データが欲しいApple・Googleと「お客様に居続けてもらいたい」というところでシナジーがあったため、AppleさんではApple Watch、GoogleさんではFitbitでアプリとも連携させていただいています。

———最後になりますが、今後のビジョンを教えてください
2017年にアプリをローンチして以来、1,000万ダウンロードを達成してはいますが、これまでは女性をターゲットにしたマーケティングを行っていました。なぜならLINEやInstagramなどのように、流行は若い女性から広まっていくという経緯があります。また、アプリの中身も若い人たちに向けた開発をしていました。
しかし年代別に使いたい機能やUXが違うため、ラインナップを増やしていかなければならないと感じています。また、健康に不安が増え始める40~50代の方々へ専用アプリの開発などから、国内、アジア、最終的には世界の人たちを健康にすることを目指していますので、それに準じてアプリケーションのラインナップもそろえていけたらなと考えています。

▼代表取締役プロフィール

代表取締役 CEO 南野充則

東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップ、株式会社MEDICA及びCDSystem株式会社を創業。
東京大学在籍中に北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。
2014年にFiNC(現:FiNC Technologies)の創業メンバー(CTO技術最高責任者)として参画。2016年8月、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立し、2017年ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。
2019年6月に書籍「未来IT図解 これからのディープラーニングビジネス」を出版するなど、ヘルスケア×テクノロジー分野において活躍。
2019年12月にFiNC Technologies 代表取締役CEOに就任。