少しAIを知っている人であれば、AIにも得意な分野と不得意な分野があることを知っているだろう。AIの得意な単純作業やデータ処理の正確性、など他にも数々あるが、その一つに収集したデータから共通点を見つけるという点が挙げられる。

例えば、コンビニでどんな時にどんな商品がよく売れているのかなど、これまで現場の経験則に近かったものを売れた商品の個数、その日の温度、来客数など細分化したデータからこの条件に当てはまった場合にこの商品が売れる、といったような予測を立てられるようになっているのだ。
実際に、例に挙げたようなAIを使った分析は、既にメーカーなどで使われているなどの話も聞いており、ある程度正確な分析が行われていることがわかる。

このようにAIの分析する能力は既に実証されていると言っても良いだろう。その時、ふと思ったことがある。正確なデータの分析ができるのならば、競馬も当てられるのではないだろうか、と。

そこで今回は、競馬をピックアップして実際にAIが予想した馬が勝つことができるのか調べた結果を紹介したい。

競馬とは?

話を進める前に、そもそも競馬とはどういうものなのかについて説明しよう。
競馬とは文字通り『馬を競わせる』競技だ。凄く簡単に言えば、出走する馬の中から一着、二着、三着でゴールする馬を当てるというものになる。

起源は古代ギリシャ⁉

その起源はかなり古く、紀元前12世紀頃古代ギリシャの時代には馬を競わせる『戦車競馬』と呼ばれるものがあったと文献に記されている。日本でも平安時代には文献に競馬(くらべうま)という表記があることが確認されており、非常に歴史のあるものと言えるだろう。
もっとも、昔の人にとって馬は、今でいう車や交通機関の代わりとなるだけでなく、戦などでも重宝されるため、現在の競馬に近く形ではなく、その技術を披露すると言ったような側面が強かったと予想される。

近代競馬の始まり

では現在の競馬のような基礎が出来上がったのはいつ頃になるだろうか。それは、古代ギリシャの時代からかなり時が進んだ、16世紀頃のイングランドで始まったとされている。なお日本では、1860年に神奈川県横浜市の中華街で有名な元町で初めて行われたそうだ。
ちなみに、意外と知らない人もいるが、競馬は公営ギャンブルと呼ばれる国が運営しているギャンブルになる。

競馬を予想するAI

さて、競馬について何となく把握してもらったところで本題に入ることにしよう。
一見、競馬を当てることについて、AIの力では難しいと思えるかもしれない。だが、前述した通り、AIは集めたデータから分析する力を持っている。このデータを集めることが実は競馬を予想するのに必要だったりするのだ。

競馬は情報収集が鍵?

競馬と一口に言っても予想するに当たって参考にできる情報は殊の外多い。

・コース概要
・距離
・騎手
・実績
・血統

ぱっと思いつき限りで列挙してもこれだけあるのだ。これを全て人の手で集めて分析しようとすれば、漏れが発生する可能性もあるだろうし、何より時間がかかることは想像に難くない。でもAIであれば、情報を集めることさえできれば瞬時に分析し、その結果を出すことができる。

実際にAIの分析を活用した競馬予想は既に作られており、調べただけでも数多く存在していることがわかった。
SPAIAの「AI競馬」や、netkeibaなどでは実際にAIが予想した内容(過去分)を無料で見ることができるので、興味があれば、是非一度見ていただきたい。

AI予想の的中度

では、AIの予想がどれだけ的中しているのだろうか。様々なAIの予想をしているところのデータを調べてみたところ、的中率は約3割程度と言った形だ。
それならAIに競馬は出来ないじゃんと思われる人がいるかもしれない。
ただ、そう思うのはすこしだけ早い。そもそも競馬には多くのかけ方が存在している。最も的中率の高いかけ方と言われている複勝(選んだ馬が3着以内に入る)で約16.6% 一番当たりにくい3連単(1着、2着、3着を全て当てる)では約0.02%だ。そもそも当たる確率が低い為、全体で3割程度当てていると言うのは十分凄いことではないだろうか。

また、競馬では「的中率」の他に「回収率」という重要なファクターが存在しており、ただ的中率が高ければよいと言う訳ではないのだ。

AI予想の回収率

回収率とはどれだけ儲けることができたかを示す値になる。回収率が100%以上になればプラスであり、それ以下であればマイナスということになる。

競馬は知っての通りギャンブルだ。当てることももちろん重要だが、それ以上に大事なのが掛け金よりもプラスの収支にすることではないだろうか。ちなみに一般的な回収率の平均は75%と言われている。

それを踏まえ、AI予想の回収率を調べてみると、だいたい70%~95%程度であった。ただ、今回調べることができたデータというものは一週間分のデータしか表示されていなかったり、そもそも回収率を表示していないところが多く、調べきれる範囲でということになるので、これよりももっと悪いものもあれば、反対にもっと良いものもあるだろう。また、年間ベースでみると100%を超えているAIもあれば、それよりも低いAIも存在していることからも、集められたデータから勝つ馬を判別している部分の差異で結果が変わっていることもうかがえる。

とはいえ、全体の平均で大体70%~95%程度だったわけで、今回調べられたデータからだと、一般平均よりは若干マシだが、プラス収支とまではいかないというところに落ち着く。
ただ、一つ断っておきたいのが、これは全てのレースの結果を合算した数値という点だ。各1レースごとで見れば、それこそ回収率が1000%を超えるようなレースの箇所も見受けられた。勿論その分0%のレースも存在しているのだが、、、
結局のところ、やはりAIをもってしても競馬ではそう簡単に勝てるわけではないのだろう。

まとめ

今回調べた限りでは残念ながらAIでは競馬を確実に勝てるわけではないことが判明した。だが、正直こういった部分においてもAIは使われ始めており、自分たちが知らないだけでこんなことにもAIって使われているのか、と思うものが出てくるかもしれない。それはとても興味深い話ではないだろうか。
気づいたらあれもこれもAIが裏にいる。そんな時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。