分散連合学習プラットフォーム「STADLE」を開発するTieSet, Inc.のCEOであるKiyoshi Nakayama氏の一時帰国のタイミングに合わせて、AIメディアはインタビューを実施し、最新情報を詳しく伺うことが出来ました。
2021年のプライベートリリースから3年が経過し、「STADLE」 プラットフォームは大きく進化を遂げています。
Kiyoshi Nakayama氏には、追加機能やプラットフォームの今後の展望について、10年後の未来像も含めて分かりやすく解説していただくことが出来ました。
TieSet, Inc. CEO 「Kiyoshi Nakayama」氏へインタビュー
-「STADLE Platform」のリリースから3年が経過しましたが、改めてどういったものなのか簡単にご説明をお願いします。
「STADLE」は、分散型連合学習を基盤にしたAIプラットフォームで、様々な情報やデータを学習し、学習された知恵を集約・共有することをコンセプトにしています。例えば、複数の病院で癌患者のデータを学習することで、癌の形状や性質に関する知恵を統合します。これにより、特殊な癌の形態や情報を広く共有し、従来AIでは検知できなかったような癌も発見できる可能性が広がります。さらに、学習を分散化できるため、従来のAIでは非常に時間のかかった学習プロセスが、各病院で学習した知恵を統合することで大幅に短縮されます。
また、大規模言語モデルのファインチューニングのような、AIの学習そのものが一般化する未来も遠くはないと感じています。このような未来を見越して、効率的な学習のためのサービスである「STADLE Platform」を開発し、進化させている段階です。
-どのような分野に活用することが可能でしょうか?
今後AIは自動運転や製造業、金融など、様々な分野にさらに浸透していきますので、STADLEはそのような多くの領域に適用可能です。分かりやすい例でいうと、ヘルスケアの分野があります。病院における患者データの個人情報管理は、医療分野の重要な課題の一つです。プライバシーに関連するデータを扱う必要があるため、データの保護と倫理的な運用が求められています。こうした背景から、データの安全性とプライバシー保護が重要視される領域では、LLM(大規模言語モデル)を始めとする生成AIや画像認識AI等をセキュアに学習させ活用する需要が急速に高まっています。特に、データの学習プロセスにおけるプライバシーの保護がボトルネックとなっており、セキュリティ対策や透明性の確保が求められています。あくまで一例ですが、そういった場面に活用いただけると思います。
また、近年急速に普及している生成AIの発展にも貢献できると考えています。例えば、とあるアメリカ企業との取り組みでは、インドで使用される生成AIのモデルをより汎用的にするために、数百種類あるインド系方言AIの学習及び統合を進めています。
-今後はどのように広めていきたいでしょうか?
私たちは、ただ単に利便性や利益を追い求めるのではなく、AIのポテンシャルを探求し、それを実社会の改善に結びつけることを使命としています。企業への導入を進める上で、重要なのは数ではなく、社会にとって本当に大切なことを実現することです。
以上のことを踏まえた上で、我々の描くビジョンに共感いただいた企業との連携を深めていきたいです。実際に、提携企業と協力して、医療の知識とドライビング技術を融合させ、”AIを用いていかに事故を減らし、人間の命を守れるか”を研究開発しています。これは、AIが人間の命を守るためにどれだけ貢献できるかという問いに対する答えを探る取り組みでもあります。さらに、人材不足が深刻化する今、私たちは企業のノウハウをAIに学習させ、日常業務を効率化し、働く人々が真に価値ある仕事に集中できる環境を創出したいとも考えています。人間が自分の才能や情熱を最大限に発揮できる場を提供するのと同時に、社会全体の創造性と生産性を飛躍的に高めることにもなります。
私たちは、AIをただの技術ではなく、社会を変革し、より豊かな未来を創造する手段の一つとして認識しています。
-このプロダクトを手伝いたいと世界中からエンジニアの問い合わせがあると聞きますが、具体的にどのような方を求められますか?
好奇心と向上心に満ちた人を求めています。情熱を持ち、自身の可能性を極限まで追求できる人は、私にとって尊敬すべき存在でもあります。
例えば、共同創業者のGeorgeも入社当時からその姿勢を体現していました。彼は学生インターンとして入社し、ハイレベルな技術者がそろうシリコンバレーで技術に乗り遅れてはいけないというプレッシャーの中で、深い知識や専門性を手に入れ、現在ではチーム内外問わず尊敬されています。彼のおかげで、「自分たち以上のものを作れる人いない」という意識が生まれ、モチベーションを保つことができます。彼は、彼自身だけでなく周囲の人々をも引き上げる力を持っているように思います。
そんな彼の影響で、私たちは常に最先端の技術と向き合い、成長し続けることができています。
-今後、日本国内でSTADLEの提案を推し進めるにあたって、代理店を積極的に募ったりもなさるのですか?
現在、私たちの販売・開発パートナーは着実に増えており、例えばDatabricks等の先端的で優れた技術製品を選択的に採用していることで知られるマクニカ社(https://www.macnica.co.jp/)が正式なパートナーとなっています。今後のビジョンとして、ユースケースやソリューションをアーリーアダプターと呼ばれる先進企業と確立しながら、営業代理店等の募集も視野に入れています。
-今後の展望として10年後「STADLE Platform」はどのような進化を遂げている想定でしょうか?
『某映画に登場するスカイネットのようなイメージでしょうか。』
私たちSTADLEが本当に目指しているのは、たくさんの素晴らしい知恵が集まり、共有されるプラットフォームの創造です。データ自体に価値があるのではなく、データから抽出される知恵こそが真の価値を持っています。例えば、自動車の走行データやビデオそのものには限られた価値しかないかもしれません。しかし、それらを学習して自動運転AIとして活用すれば、安全でスマートな運転を実現できるのです。
知恵はデータとは異なり、成長も退化もします。だからこそ、私たちはそれを進化させ、管理する必要があるのです。私たちの目標は、「データの時代から知恵の時代へ」というパラダイムシフトを推進すること。STADLEと共に、このビジョンを大きく成長させ、「そうだよね」と共感してもらえる未来を築きたいと考えています。
-利用を考えている企業様へ、メッセージをいただけますでしょうか?
目先の利益だけではなく、1歩先を見る企業が真の成功を収めることができると確信しています。1~2年先ではなく、それよりももっと先を見据えたロングタームの戦略を描いている企業様とぜひお話ししたいと思っています。縁を大切にする私たちは、パートナー企業となれば、しっかりとサポートさせていただきます。共に未来を創造しましょう。
TieSet, Inc.について
TieSetはシリコンバレーに拠点を置き、プライバシー保護や機会学習の効率化を実現させるAI技術として注目を集めている「Federated Learning」の研究開発をリードする第一人者らによって創業され、世界最先端の分散AI技術を実現させるプラットフォームSTADLE™を開発しました。 IoTやエッジコンピューティング、分散学習技術のさらなる普及を見据え、インテリジェンスの共有やAIに おける学習を大きく進化させることにより、実現困難であったクリティカルなデータ課題を解決し、現実社会生活に、真に価値をもたらすAI技術の基盤構築をサポートしています。TieSet Asia株式会社はTieSet,Inc.の日本国内を中心としたビジネス展開およびサポートを担っています。
【TieSet, Inc./TieSet Asia 概要】
会社名:TieSet, Inc. ([https://tieset.com/])
代表者:Kiyoshi Nakayama
本社所在地:214 Homer Ave, Palo Alto, CA 94301, USA
登記住所:651 N. Broad Street; Suite 206, Middletown, Delaware 19709, USA
事業内容:STADLE Platformの研究開発およびサポート
会社名:株式会社TieSet Asia ([https://tieset.jp/])
代表者:中山茂樹
本社所在地:〒105-0022 東京都港区海岸1-2-20 汐留ビル5F
事業内容:STADLE及びSTADLEに基づいたソリューションの国内展開およびパートナーサポート
パートナー企業の募集について
TieSet, Inc.は、STADLEの導入・活用・技術検証を実施したい企業や団体を募集すると同時に、代理販売を行うパートナーを募集しています。
以下問い合わせメールアドレスにご連絡ください。
【連絡先】
株式会社TieSet Asia広報部
e-mail: info@tie-set.com