出光興産株式会社は、12月から燃料油の配車計画にAIと最適化モデルを活用した新システムを本格導入しました。このシステムでは、AIが各サービスステーションの需要を予測し、最適化モデルがそのデータに基づいて配車計画を立てます。デジタル技術と人間の判断力を融合することで、配車計画の作成時間を25%削減しつつ質を保つことを目指しています。
以下、プレスリリース引用
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤俊一、以下「当社」)は、燃料油の配車計画※1の作成業務に、AIと最適化モデル※2を活用した新システムを12月から本格導入しました。本システムでは「サービスステーション(以下、「SS」)ごとの需要予測」をAIが行い、「需要予測に基づく配車に必要な各種計画の立案」と「タンクローリーの配車」を最適化モデルが行います。また、本システムはAIと最適化モデルの高い処理能力で出力した配車計画に、配車担当者が配送先の個別事情を加味して調整するという、デジタルと人知を最適に組み合わせる仕組みを採用しています。これにより、従来の配車計画の質を維持しながら、作成時間を25%削減することが可能です。
当社では燃料油の配送において、約70名の配車担当者が1日約5,000件の配送オーダーに対して、最大1,800台のタンクローリーの積み合わせ※3に配送先の個別事情を加味して、配車計画を作成しています。配送オーダーには、SSを運営する特約販売店などから当社へ発注されるオーダーのほか、配送量の適正化および配車の効率化を図るため、配車担当者がSSごとの燃料油の販売量を予測し特約販売店に代わって発注する計画配送があります。配車計画の立案には計画配送を含め、様々な条件を考慮する必要があり、これまで配車担当者は多くの時間を要してきました。
このたび本システムを導入したことで、配車計画を短時間で作成できるようになり、配車担当者の練度にかかわらず、配車計画の質を維持できるようになりました。今後は配車担当者全員が本システムを利用して、配車計画の作成時間の25%削減を目指します。
当社は今後も最新の技術を活用し、物流の2024年問題などの社会課題も意識しながら、業務効率化とエネルギーの安定供給の両立に取り組みます。
※1 特約販売店が運営するSSなどに配送する油種や量、タンクローリーの割り当てなどを記載した計画
※2 条件を考慮しながら目的を達成する最適解を見つけるシステム
※3 1台のタンクローリーに複数のオーダー分の燃料油を積み込むこと
【本システムの特長】
■主な機能
1.需要予測(AI)
各SSのレギュラーガソリンや軽油など油種ごとの販売量を季節や曜日などの条件ごとに学習することで、精度の高い需要予測を行い、計画配送先の在庫安定化に寄与します。
2.計画立案(最適化モデル)
需要予測やSSの在庫量などの情報をもとに、SSごとに最適な計画配送を作成します。計画配送に加え、特約販売店などが発注するオーダーも含めて積み合わせ候補を作成します。
3.配車最適化(最適化モデル)
積み合わせ候補とタンクローリーをマッチングし、配送時間や車両サイズなどの条件を考慮した配車計画を作成します。
■AI×最適化モデルの立案結果を配車担当者が判断・微調整することを可能とした仕組み
本システムにより出力された配車計画に、配車担当者が必要に応じて、システムで把握することの難しい配送先の個別事情を組み込みます。これにより、品質が高く、取引先様にも満足いただける配車計画を作成しながら作業の効率化も実現します。
■配車担当者の使いやすさを追求した開発手法
本システムの開発は、アクセンチュア株式会社と共同で行いました。実証段階から配車担当者が参画し、プロトタイプを作成してユーザーの意見を取り入れ都度改善していく、「アジャイル開発」を採用しました。また、導入後の現在も開発者が現場に常駐し、配車担当者の利便性を高める活動を継続しています。