先日、オムロンより、オープンプラットフォームに対応した、3種のセンサー(非接触温度/振動/絶対圧)が発表されました。
 参考:オムロン、個人向けにオープンプラットフォームに対応したセンサー3種類を発表 - fabcross

 ハードベンチャーとのコラボレーションによりセンサーの販売が開始され、利用するためのサンプル・プログラムがGitHubに公開されるなどオープンプラットフォーム(製品やサービスの基本を構成する技術仕様などを公開)に対応したとのことで、SNSでは話題になっています。このことからオムロンがオープンイノベーションに対して真摯に取り組んでいることが歓迎されています。
AIという観点からも、データの取得は、学習の上で、最初に手掛ける必要があり、その上で、センサーが重要な役割を担うことがあります。このようなことから、AI MEDIAとして、オムロン様がどのようなセンサーを用意し、取り組んでいるか取材をお願いしてみました。

 今回、取材を快く引き受け、応じてくださったのは、イノベーション推進本部の、小島さんと高塚さんです。それでは伺ったことを、紹介したいと思います。


写真左より、小島さん、高塚さん

産業用センサーのオープンプラットフォーム対応

 オムロンといえば、血圧計、体温計をはじめとした健康医療機器でなじみがあると思います。実際、「センシング&コントロール+Think」をコア技術とした、イノベーションを創造し、社会的課題の解決を目指す企業で、産業用として取り扱う制御機器や電子部品の製品の幅は広く、制御機器のトップメーカーなのです。Thinkに関しては、熟練工などの方の知恵やナレッジをいかに取り込み、どう実現するかを考えているのです。
 ヘルスケア分野の例としては、個人の、さまざまなデータを取得し、たまったデータをAIで解析し、個人に最適化したパーソナライズ医療としてのサポートとして進めているそうです。
 オムロンのセンサーは産業用ということもあり、企業からの個々の仕様に対して提供するビジネスが主体であるため、出力される値の変化を楽しむ遊びの物とは違い、精度や信頼性が求められます。このため、製造現場で起きるさまざまな変化(位置・長さ・段差・変位・外観など)を確実に検出・計測するもので、生産現場や安全確保などの点で重要な役割を果たしています。

 一方、「Maker」と呼ばれる、個人やベンチャーの、ものづくりの方が増え、また、利用するマイコンが高性能/高機能になり、ブルートゥース、WiFiなどの通信モジュールもつながり、クラウドのサービスが利用できるようにもなってきました。昨今のIOTブームで、Makerや、研究開発される方が、ArduinoやRasberry PIなどを利用し、世の中にある、さまざまなセンサーをつなげて、ものづくりをすることが増えてきました。中には、FPGAなどのAIチップを利用し、カメラなどのセンサーのデータを取得し、学習データとして使い、いろいろな目的の機能をもったアイテムを作り試すことも行われています。
参考:Make:Japan

 これまでは、一般的なものづくりの方が、オムロンの産業用のセンサーが持つ潜在価値を試す機会というのは、ほとんどありませんでした。オムロンのセンサーを利用したい要望はあるものの、実現はなかなか難しかったのです。
世の中の流れもあり、今まで取得ができなかったデータを集めることが可能になり、社会の多くの企業のビジネス創造や社会課題の解決につながればとの考えから、イノベーション推進本部が発足し、他社との協業により、企業向けのセンサーがオープンプラットフォームに対応し、利用できるようになったのです。
特に、ニーズの高い非接触温度、振動、絶対圧(気圧)を計測するセンサーに対して、個人が利用しやすいように、Seeed社のGroveコネクタを取り付けたものが販売になりました。細かいはんだ付けがいらなく、手軽にセンサーを試すことが可能になったのです。
参考:Seeed社のGroveSystem

Auduino等との接続はケーブルで繋ぐだけ SDカード/MicroSDカードと大きさの比較

 さらに、初めてセンサーを利用する人でも簡単に試せるように、データシートの提供だけでなく、利用の多い、Rasberry PI、Arduinoなどのプラットフォームに対して、3種のセンサーを活用するためのサンプル・プログラムをGitHubへ公開しています。最初から動くプログラムがあるのは、大変ありがたいことです。
参考:Arduino/RasberryPI/ThinkerBoard用サンプルプログラムを公開

また、株式会社XSHELLのisaax勉強会など、センサーの使用方法を学ぶ機会もあるようです。
isaax User Group
オムロン絶対圧センサ評価モジュールをRaspberryPiに繋いで可視化(入門編)

オープンプラットフォーム化への思い

 さまざまな社会課題に対して、仕様を作って製品を提供すれば良いというわけではなく、トライ&エラーで試行錯誤しながらものづくりをしていく流れがあると捉えており、ものづくりを進めている方に、産業用向けのセンサーを提供することで、何か新しい発見や課題解決の方法が見つかるのではないかとの思いです。

 「いくら良いセンサーを作っても、それを活用できるアプリケーションとの結びつきがないと、世の中の社会課題の解決につながらない。」「オープンプラットフォームの盛り上がりに対して、利用するための敷居を下げることが必要で、オムロンとしては、個人のものづくりの方や、スタートアップ、IT系の方など、今までセンサーに馴染みのない方に、簡単に使っていただけるように環境を整える必要がある。」というお話をいただきました。
このような思いと、メイカ―ムーブメントという新しいものづくりの潮流もあり、オープンプラットフォームへの対応をさせたとのことです。つまり、B2B(企業対企業)向けの独自の技術で作ったものを、一般の方が扱えるようにしたとのことです。

 「センサーを手に取って、最初はサンプルを試すところから触れていただきたい。」ということで、センサーに触れる方が増えることで、すそ野が広がり、「より幅広く、いろいろな方に使っていただくことで、ご要望やアイデアを含めて、たくさんのご意見やお問い合わせをいただきたい。そして、意見を反映しながら、どうしていくのかを考え、息の長い大きなプロジェクトにしていきたい。」とのことでした。これにより、社会課題の解決の一役を担うことにつながればとの考えです。コミュニティとともに、アプリケーションを一緒に作っていきたいとの思いがありました。

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